「顔が可愛いから」
というとても不純な動機で僕は一人の女性をインスタでフォローしていた。
フォローし始めてから間もないその女性が一つのストーリーを投稿していた。
「alomといくバスツアー」(仮)募集
「なんだこれ?」
「まず『alom』ってなんだ?」
と、僕は思った。
調べてみるとalomというのは女性二人組のユニット名のことらしい。
「なるほど…」
そしてバスツアーの詳細を見てみると、日程や集合時間は載っているものの、詳しいことはほとんど書かれていなかった。
ただ参加は無料とあった。
そして参加できるのは抽選で当たった「限定数名」とある。
たまたま開催日は仕事が休みの日であったし無料なら抽選に申し込むだけ申し込んでみればいっか、どうせ当たらんし、という軽い気持ちで申込み用フォーマット(メール)に進んだ。
ただ自分の名前や電話番号を入力していくうちに、
「いや、もしかしたら当たっちゃうんじゃないか?」という予感が頭をよぎり、スマホを操作する指が一度止まった。
「待てよ。顔が可愛いからという理由でインスタをフォローしてた俺が当選したりでもしたら…たとえ抽選に当たって参加したとしてもガチファンに白い目で見られるんじゃ…」
そんな不安が襲ってきた…
(念の為言っておくがこの時点ではまだ当選すらしていない…)
「いや、でももし当たったとしたら物凄い勇気が身につくんじゃ…話のネタにもなるし…」
そう思った僕は決意を固め入力項目を全て埋め、メールを送信した。
不思議なことにメールを送信し終えた後は全く不安な気持ちはなくなっていた。
(おそらく申し込むか否かという選択肢が目の前からなくなったからだろう)
【バスツアー前日】
申し訳ない話なのだが、数日前になっても抽選結果の連絡がなかったので、僕はすっかりバスツアーのことを忘れていた。
バスツアー前日の夜、僕はなんとなくスマホでメールボックスをチェックしていた。
そして一通の新着メールが届いていることに気づいた。
件名は『抽選結果のお知らせ』
「ああ、忘れてた…」
僕は無感情でメールを開いた。
すると、
抽選の結果、ご当選されましたのでお知らせいたします。
の文字。
「マジか…」
バスツアーのこと自体ほぼ忘れていた僕は一瞬思考が停止した。
ただこうなったら行くしかないと腹をくくった。
そして僕はその日、寝るまでひたすらalomの曲を繰り返し聴いた。
【バスツアー当日】
ただただ最高だった…。
バスの中で歌ってくれるわ、パスタを一緒に食べられるわ。
すっかり僕は『alom』の虜になっていた…
【そして今日…】
僕はalomのミニライブを観に池袋へ行ってきた。
そして特典会(alomの2人と写真撮影)に参加する為CDも購入した。
ちなみにバスツアーも今日のライブも一人での参加だ。
そんな僕に周りのみんなはきっとこう言うだろう…
「お前、勇気凄いな…」
『令和』という一つの時代の始まりとともに僕のオッカケ時代という一つの時代も始まりを迎えた。
『alomの2人とゾンビポーズをする筆者』
shin